一日出かけて、夜にホテルの部屋へ戻ってきます。
スマートフォンの残量は30%を切っていて、バッグの中のモバイルバッテリーも減っている。
どちらも朝までに充電しておきたいのに、ベッド脇のコンセントは1口しかありません。
充電器を引っ張り出してきて順番に挿し替えるか、明日の自分に賭けて片方を諦めるか。
あるいは、こういう場面もあります。
モバイルバッテリー、USB-Cケーブル、ACアダプタ。
この3つを持ち歩いていると、バッグの中でケーブルだけが行方不明。
出先で充電しようとして、バッテリーはあるのにケーブルがない…。
そのために予備のケーブルをもう1本入れて、荷物がまた増えていく。
PHYSCE(ファイス)の3in1モバイルバッテリーは、モバイルバッテリーとUSB-C急速充電器、それに充電ケーブルの3つを1台にまとめた製品です。
結論から言えば、この構造そのものが、いま挙げた2つの場面をどちらも解決してくれます。
ただし、その代わりに引き受けることになる弱点もあります。
今回は、FaceSec Japan株式会社様より製品をご提供いただいたので、電流電圧チェッカーを使って実測しながら確かめました。

- これって何?
モバイルバッテリー・USB-C急速充電器・充電ケーブルの3役を、1台に集約したコンセント一体型のモバイルバッテリーです。
公式仕様では、バッテリー駆動時もコンセント接続時も、国内では単体接続で最大30W、2台同時使用で合計最大15Wに対応します。 - 誰におすすめ?
自宅や出張先で、コンセントの数が足りずに困った経験がある方。
モバイルバッテリーとケーブルと充電器を、ひとつにまとめて荷物を減らしたい方。
デスクに置いたまま、あるいはバッグの中で繋いだまま充電する使い方が中心の方。 - どこで買える?
PHYSCE 3in1モバイルバッテリー|Amazon
ホノブ【この記事を書いた人】
ホノブ|30代・2児の父。自宅でもコンセントの取り合いに何度も悩まされてきた身として、この一体型構造を実際に数日間使い倒しました。今回はFaceSec Japan様からの提供品ですが、忖度なしで検証しています。


- モバイルバッテリー・ケーブル・充電器の3役が1台に収まり荷物が減る
- パススルー充電に対応。バッテリー本体を充電しながらスマートフォンなども充電可能
- RGBライトの残量表示とバッテリーヘルス表示で、本体の状態がボタン1つで確認できる
- BatteryEcoモードに切り替えると出力が約5Wまで落ち、スマートフォンなどのバッテリー負荷を抑えられる
- 内蔵ケーブルが本体に固定されていて、ループとして引っ掛けても外れる心配がない
- アルミの質感がよく、表と裏でデザインが違うのがかっこいい
- 内蔵ケーブルが短く、手に持ってスマートフォンを操作しながらの充電には向かない
- ストラップ状のケーブルがバッグの中で顔を出しやすく、収まりは良くない
- 本体サイズが大きく、重さもあるため、ポケットに入れて持ち歩くタイプではない(信頼性の高いバッテリーセルを積んでいることと表裏一体)






開封:でかい、重い、そして質感がいい
箱から出して最初に出た言葉は「でかい」でした。
次に「重い」です。


ただ、手に取ったときの感触はその印象を裏切ってきます。
航空機グレードのアルミ合金という筐体材のとおり、表面はひんやりと硬く、質感は高級感たっぷりです。
表と裏でデザインがまったく違うのも、この製品の面白いところでした。
裏面は波打つような造形で、アタッシュケースを思わせます。
見る角度によって陰影の出方が変わり、こちらのほうがカッコいいかもしれない。




ただし、表にはRGBライトが備わり、こちらもこちらでカッコいい。
ライトの形はPHYSCEブランド共通の、宇宙語のような記号です。
充電器2機種にも同じ意匠が入っていました。
意味は分かりませんが、光ったときの見栄えは相変わらず良いです。


ケーブルが内蔵されていることで、端子まわりはとても簡素です。
USB-C端子がひとつだけで、その下にボタンがひとつ。


この面に「36Wh Airline Approved」と刻まれていて、航空機に持ち込める容量の範囲内(※)であることを端的に示しています。
この部分を見せるだけで、説明不要で納得してもらえそうです。
なお、この36Whという数字は、後ほど容量の話でもう一度出てきます。
(※1個につき160Wh以下であること。ただし2026年4月24日から、容量にかかわらず1人2個までという制限もあります。詳細は国土交通省のHPへ。)


内蔵ケーブルは、引き出して使い、使い終わったら本体の溝に沿わせて収めます。
最後まで押し込まなくても、下の写真のあたりから勝手にマグネットで引っ張られて固定され、ピタッと収まります。
この感触が気持ちよくて、意味もなく何度か出し入れしました。




もちろん、コンセントプラグもあります。
折りたたみ式なので、モバイルバッテリーとして使う際はしまっておくことができます。




製品仕様:車載グレードのセルを積んだ、3役ぶんの中身
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | physce Eco RGB 3-in-1 Power Bank 10K(型番:F110KUS) |
| サイズ/重さ | 約120×52×31mm/約320g(実測値:313.3g) |
| カラー | スターライトシルバー/レイクブルー/ミストゴールド |
| 筐体材 | 航空機グレードアルミ合金/SABIC製LEXAN™ 940難燃性ポリカーボネート(UL 94 V-0) |
| ポート構成 | USB-C×1 + USB-C(編み込み式ケーブル一体型)×1 |
| 入力 | 最大27W |
| 最大出力 | 30W(ケーブルとポートを同時に使う場合は最大15W) |
| BatteryEcoモード有効時 | 入力・出力とも各ポート最大約5W |
| バッテリー容量 | 9,600mAh(LG社製車載グレードバッテリーセル・2セル構成) |
| 使用可能温度範囲 | −24℃〜55℃ |
| 認証・保証 | PSE認証/2年保証 |


コンセントに挿して急速充電器として使う場合も、日本の100V環境での出力は上の表と同じ最大30Wです。
詳細は下記に譲りますが、40Wという出力はAC入力200-240Vの高電圧エリアでの上限なので、日本国内での使用を前提とした購入判断には関わってこないでしょう。
■モバイルバッテリーとして使用時
USB-Cケーブル/ポート入力:5V/3A、9V/3A(最大27W)
USB-Cケーブル/ポート出力:5V/3A、9V/3A、15V/2A、20V/1.5A(最大30W)
USB-Cケーブル+ポート出力:最大15W
BatteryEcoモード有効時入力・出力:各ポート最大約5W
■急速充電器として使用時(コンセントに挿入時)
・AC入力:100-130V ~ 50/60Hz 1A(低電圧国・エリア)
USB-Cケーブル/ポート出力:5V/3A、9V/3A、10V/2.25A、15V/2A、20V/1.5A(最大30W)
USB-Cケーブル+ポート出力:最大15W
・AC入力:200-240V ~ 50/60Hz 1A(高電圧国・エリア)
USB-Cケーブル/ポート出力:5V/3A、9V/3A、10V/2.25A、15V/2.67A、20V/2A(最大40W)
USB-Cケーブル+ポート出力:最大15W
・BatteryEcoモード有効時入力・出力:各ポート最大約5W
■設計上の特徴(メーカー公表内容)
フルGaN設計/最大855倍の放熱効率/360°絶縁構造/−24℃〜55℃の環境試験をクリア/129の工程
■ご注意
実際の出力は接続機器・ケーブル・バッテリー残量・使用環境により異なります。
バッテリーセルについて
公式サイトの製品仕様に「1,000回以上の充放電サイクルに対応する、長寿命のLG社製車載グレードバッテリーセルを採用・2セル構成」と記載があります。
さらに商品画像では「テスラ車載のリチウム電池セル採用」と明記され、「1年間保管後も残量80%以上を維持」とあります。


これはつまり、自動車に載せられる品質基準を満たしたセルを、モバイルバッテリーに転用しているということです。
そして、車載グレードのセルを2本積んでいるということは、そのぶん重くなるということでもあります。
ここは購入前にいちばん気になるところだと思うので、実際に量りました。
結果は313.3gです。
公称は約320gなので、今回の個体はそれを下回りました。


313.3gという数字だけ見てもピンと来ないかもしれませんが、バッグに入れればはっきり分かる重さです。
手に持ったまま使い続ければ腕が疲れますし、コンセントに挿せばこの重量を折りたたみプラグ1本で支えることになります。
このあと出てくる検証や使用感の話は、ほとんどがこの313.3gから派生しています。
中身の信頼性と、それによる重量。
この製品では、その2つが同じ場所から生まれています。
重いことは、そのまま良いセルを積んでいることの裏返しです。
容量の数値について
この製品を調べていると、容量の数字が3つ出てきて、少し混乱します。
製品名には「10K」、公式の製品仕様には9,600mAh、さらにAmazonの製品ページ説明欄には「定格容量5800mAh」。
どれが本当なのかという話ですが、公式サイトに掲載されている仕様ラベル図に、3つとも併記されています。
- バッテリー容量:4800mAh 7.38V 36Wh(2セル直列構成)
- 定格容量:5800mAh(5V/3A)
- セル総容量:2セル、9600mAh
つまり、どれもこの製品について、別の側面から説明した数字です。
9,600mAhはセル2本分を単純に足した値で、製品名の「10K」はここから来ています(≒10000mAh)。
ただし、この製品はセル2本を直列に繋いでいるので、電池パックとしての公称は4,800mAh・7.38Vになります。
電圧と容量を掛けたエネルギー量で見ると36Whで、端子面に刻まれていた「36Wh Airline Approved」の36Whと一致します。
そして、実際に外部へ取り出せる量が定格容量の5,800mAh(5V/3A)です。
5Vを掛けると29Wh相当になり、パックの36Whとは差がありますが、これは電池の電圧を5Vに変換して送り出す過程で失われる分です。


4つのライトが何を示しているのか
本体側面に並ぶ4つのライトは、公式サイトで「3D RGBインジケーター」と呼ばれています。
状態によって光り方が変わる仕組みなので、公式サイトの仕様表の記載どおりに整理しておきます。
■バッテリー残量表示
- 4ライト:76〜100%
- 3ライト:51〜75%
- 2ライト:26〜50%
- 1ライト:1〜25%


■バッテリーヘルス表示
充電していない状態でボタンを短く押すと、4つのライトが順番に点灯した後、バッテリーヘルスが色で表示されます。
- 緑:80%以上
- 黄:61〜79%
- 赤:60%以下


■急速充電時のライティング
RGBライトがランダムな色で点灯します。


■BatteryEcoモード有効時
RGBライトが緑で点灯します。


ひととおり確かめてみた
充電していない状態でボタンを短く押すと、4つのライトが順番に流れるように点灯した後、バッテリーヘルスの色が表示されます。
新品ですので、当然緑でした。
この製品で他とは違う価値を感じたのは、このバッテリーヘルス表示。
充電していない状態でボタンを短く押すだけで、電池そのものの劣化具合が分かるわけです。
モバイルバッテリーは、スマートフォンよりもずっと、いつ寿命が来たのかが分かりにくい製品です。
バッテリーセルが膨らむか、極端に充電できなくなるまで気づけません。
買い替えどきを色で示してくれるのは、1,000回以上の充放電サイクルをうたい、長く使うことを前提にした製品として理にかなっていると感じました。




このボタンの短押しは、RGBライトのオンとオフの切り替えも兼ねています。
充電中に光り方が気になる場面では、ボタンを押せば消すことができます。
ボタンを約3秒長押しすると、BatteryEcoモードに切り替わります。
同じPHYSCEブランドの充電器2機種(140Wと67W)では、この長押しが約1.5秒でした。
本製品では長めに設定されているので、切り替わらないと感じたら、もう少し押し続けてみてください。


BatteryEcoモードに入ると、公式の記載どおり緑のみの点灯に変わります。
いま普通に充電しているのか、ゆっくり充電しているのかが、色だけで判別できます。


モバイルバッテリーとして使ったとき
測定の条件をそろえる
室温計を測定場所に置いて25℃であることを確認し、iPhone 16 Proの開始残量は20%。
ケーブルは検証を通じて内蔵ケーブル1本に固定し、その先に電流電圧チェッカーを噛ませて数値を読んでいます。
表面温度を測る際は、工業温度計の放射率を0.95前後に設定し、測定点には黒のつや消しマスキングテープを貼りました。




iPhoneを繋ぐと、18.29Wから始まって落ちていく
まず、コンセントには挿さず、バッテリー駆動のまま内蔵ケーブルでiPhoneを充電しました。
| 経過時間 | 実測出力 | iPhoneの残量 |
|---|---|---|
| 0分 | 18.29W | 20% |
| 10分 | 14.84W | 51% |
| 20分 | 12.18W | 63% |
時間とともに数字が落ちていますが、これは製品の不調ではありません。
リチウムイオン電池は残量が増えるほど受け入れる電力を絞っていくので、充電される側の残量が上がればモバイルバッテリー側の出力は下がります。
20分で20%から63%まで戻っている速さの方が、実用上は重要だと思います。
iPad Airを繋ぐと、約29W出る
上記の18.29Wという数字だけを見ると、公称の30Wに届いていないように思えます。
そこで、繋ぐ相手を替えてみました。
同じ内蔵ケーブルで、同じくバッテリー駆動のまま、今度はiPad Airを充電します。
結果は約29W。公称の30Wに、ほぼ届いています。


コンセントに挿したわけではありません。
モバイルバッテリーとして使った状態で、この数字が出ています。
つまり、この製品は電池だけで動いていても30W近くを送り出せる、ということです。
公称の最大30Wは、外部電源がなくても使える数字でした。
私のiPhone 16 Proが30Wを求めていない、というだけの話
同じ製品、同じケーブル、同じバッテリー駆動で、iPhoneは18.29W、iPad Airは約29W。
差を作っているのは、繋いだ相手の方です。
Appleの公式サポートページを確認したところ、私が使用しているiPhone 16 Proが受け取れる最大の電力そのものは公表されていませんでした。
公表されているのは、iPhone 12以降の高速充電には20W以上の電源アダプタが必要だという条件と、約30分で最大50パーセントまで充電できるという結果だけです。
Apple自身がiPhone 16 Proの高速充電テストに使ったのも、20WのUSB-C電源アダプタ(モデルA2305)でした。
そして参考になるのが、後から出た機種の書かれ方です。
先日発表されたiPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Maxについては、60W以上で可変電圧供給(USB PD 3.1以降のAVS)に対応したアダプタを使えば約15分で最大50パーセントまで充電できる、と具体的な数字が示されています。
つまり、より大きな電力を前提にした機種なら、Appleはその数字を書くということです。
iPhone 16 Proにその記載がないということは、20Wクラスのアダプタが基準として想定されているということになります。
USB Power Deliveryでは、充電する側と充電される側が対話して流す電力を決めます。
受け取る側が要求しない電力は、いくら供給能力があっても流れません。
iPhoneで30Wに届かなかったのは、このモバイルバッテリーの能力が足りなかったからではなく、iPhone 16 Proがそこまで求めていないからです。
2台同時に繋ぐと、合計15Wで分け合う
次に、内蔵ケーブルでiPhoneを充電したまま、USB-Cポートに2台目として、W数を表示できるモバイルバッテリーを足しました。
チェッカーを差し替えずに両方の数字が読めるようにするための組み合わせです。
| 経過時間 | 内蔵ケーブル(iPhone) | USB-Cポート(2台目) |
|---|---|---|
| 0分 | 7.3W | 7.2W |
| 10分 | 7.3W | 7.3W |
| 20分 | 7.3W | 7.3W |
合計するとおよそ14.5Wです。
公式仕様の「ケーブル+ポート同時使用時:最大15W」に対して、ほぼ上限いっぱいまで出ています。
1台あたりの数字は下がりますが、これは仕様どおりの動きです。


組み合わせを替えても試しました。
内蔵ケーブルにiPad Airを繋ぎ、USB-Cポートにもう1台を足すと、iPad Air側が7.1W、ポート側が7.3Wです。
単体なら約29Wを受け取るiPad Airでも、2台同時になれば7W台まで下がります。


コンセントに挿して急速充電器として使ったとき
iPhone1台なら、15Vで23.46W
本体をコンセントに挿し、内蔵ケーブルでiPhone1台だけを充電しました。
iPhoneの残量が27%のとき、14.95V・1.571A・23.46Wです。
電圧が15Vなので、USB Power Deliveryの15Vで送り出していることが数字から分かります。
このとき本体のRGBライトは、複数の色が混ざった状態で光っていました。
公式仕様にある「急速充電時のライティング」のとおりです。


公式仕様では、国内の電圧環境ならモバイルバッテリーとして使う場合もコンセントに挿す場合も、単体で最大30Wと同じ数字が示されています。
使い方によって上限が変わる製品ではありません。
2台同時なら、合計は変わらない
コンセントに挿した状態でも2台同時に繋ぐと、内蔵ケーブル側7.4W、USB-Cポート側7.3Wでした。
バッテリー駆動時の7.3Wと7.2Wと、ほとんど変わりません。
2台同時に使うときの合計についても、コンセントの有無では動かないということになります。


この状態でボタンを長押しし、BatteryEcoモードも試しています。
iPhone側が4.9W、2台目が4.8Wで、公称の「各ポート最大約5W」どおりに落ち着きました。


挿している間、本体も一緒に充電される
この製品でいちばん日常に効いたのは、コンセントに挿しておくと本体自身も同時に充電される点でした。
ある程度残量が減った状態で検証を始めましたが、スマートフォンへ給電しながら、本体にもきちんと充電が入っていました。
冒頭に書いた「コンセントが1口しかない夜」は、これで解決します。
壁に挿して、内蔵ケーブルをスマートフォンに繋いで寝るだけで、朝には両方とも回復しています。
313.3gを、折りたたみプラグ1本で支えられるか
コンセント一体型で気になるのは、本体の重さをプラグだけで支えられるかどうかです。
実測313.3gという重さを、折りたたみプラグ1つで壁から吊る格好になります。




実際に壁のコンセントへ挿してみましたが、抜け落ちることはありませんでした。
ただ、軽量なACアダプタと同じ感覚で扱える重さではないので、緩くなったコンセントや、ぐらつきのある延長タップでは注意が必要だと思います。
iPhoneを何回充電できたか
満充電の状態から、iPhoneを実際に充電して回数を記録しました。
1回目は残量25%から始めて1時間で94%まで、2回目は残量20%から始めて1時間で90%まで回復しています。
2回目が終わった時点で、本体の残量表示は一番下の1ライト(1〜25%)だけが点灯している状態でした。
日常の感覚に置き換えるなら、iPhoneをフル充電で2回分、それに少し余裕がある程度です。
先に説明したとおり、残量が4段階でしか分からないという点は、液晶で1%刻みの数字が出るタイプと比べれば、確かに計算がしにくい。
ただ、実測で「iPhoneフル充電2回分と少し」という目安が取れているので、それさえ覚えておけば足ります。
そもそも、大抵のモバイルバッテリーはLEDライトが点灯する個数で残量を示すものがほとんどでしたから。




0%から100%までにかかった時間は、コンセントに挿した状態でおよそ3時間でした。
このときの本体の表面温度は33℃です。
充電が完了した後にバッテリーヘルス表示を確認すると、問題なく緑のままでした。
発熱は、心配のいらない範囲でした
公式サイトはこの製品について、フルGaN設計と360°絶縁構造を掲げ、アルミ筐体の放熱性を訴えています。
では実際にどれくらい熱を持つのか。
これまでとは改めて別の日に、室温25℃の環境で、iPhoneに給電しながら30分が経った時点の表面温度を測定しました。
測定点には黒のつや消しマスキングテープを貼り(※)、工業温度計の放射率を0.95前後に設定しています。


通常モードでの結果は31.8℃、このときの出力は14.8Wでした。
体温よりも低く、バッグから取り出して握っても、熱いとは感じない温度です。




BatteryEcoモードに切り替えて同じく30分後を測ると、28.3℃まで下がり、出力は4.9Wでした。
公称の「各ポート最大約5W」の範囲に収まっています。




本体自身を充電しているときの33℃と合わせても、この製品が熱で不安になる場面はありませんでした。
放射温度計は、物体から出ている赤外線の量を読み取って温度に換算します。
その換算に使うのが放射率という数値で、物質や表面の状態によって変わります。
ここで問題になるのが、この製品の筐体がアルミだということです。
光沢のある金属面は放射率が低く、そのうえ周囲の赤外線を反射しやすいので、そのまま測ると自分の熱ではなく周りの熱を拾ってしまいます。
そこで、放射率が分かっているテープを貼り、温度計側の設定をその値に合わせます。
測定機器メーカーの技術解説でも、光沢のある金属面を測る際は、あらかじめ放射率が分かっている塗料を塗るかテープを貼って測定する方法が紹介されています。
アルミの地肌に温度計を向けて出た数字をそのまま載せるほうが手軽ですが、それでは数字の意味が変わってしまいます。
この記事に出てくる温度は、すべてテープを貼った測定点の値です。
旅行に持って行ってわかったこと
バッグには、放り込むしかない
週末の旅行に、この1台を連れて行きました。
まず、バッグに入れたときの感想から書きます。
デカいです。重いです。
ポケットには入れにくいので、バッグにそのまま放り込む形になります。
ポーチに整理して収める、という持ち歩き方には向きません。
もうひとつ、ストラップのように張り出した内蔵ケーブルの形も、バッグの中では気になりました。
荷物の隙間からひょこっと顔を出して、自己主張してきます。
収まりが良いとは言えません。
ただ、ケーブルは本体にしっかり固定されているので、ループとして持ったり、どこかに引っ掛けたりしても落ちる心配がありません。
この安心感は強く感じました。
公式の使用イメージは、私には続かなかった
メーカーの公式サイトやAmazonの製品ページには、内蔵ケーブルをスマートフォンに繋ぎ、そのスマートフォンを持った手の小指にケーブルのループを引っ掛けて持つ、という使用イメージの写真があります。
ケーブル一体型ならではの持ち方です。
旅行中、実際にやってみました。


できます。
できますが、私はやらないと思います(笑)
313.3g+スマートフォンを手で支え続けることになるので、単純に疲れるからです。
旅行1日目でこの結論が出たので、以降はやり方を変えました。
ベッド横に置いて充電するか、バッグの中にスマートフォンごと入れて繋いだまま移動するか、そのどちらか。
置ける場所さえあれば、この製品は何も困りません。


そして夜は、BatteryEcoとパススルーを組み合わせました。
このBatteryEco モードについて、公式サイトでは「バッテリーへの負担を抑える。」と位置づけています。


実際、こういう状況で役に立ちました。
- 日中に充電で使ったので、本体もスマートフォンも両方減っている
- どちらも朝までに満タンにしたい
- 急ぐ必要はなく、寝ている間の時間だけはたっぷりある
コンセントに挿してスマートフォンを繋ぎ、ボタンを3秒長押しして緑の点灯を確認してから寝ました。
パススルーでスマートフォンを充電しながら、本体に充電されます。
朝には両方とも回復していて、これは楽でした。
急いで充電する必要がない時間帯に、あえて出力を絞れる選択肢があるのは、思っていたより使いどころがあります。
内蔵ケーブルの長さについて、正直なところ
前の章では「置いて使えば困らない」と書きました。
裏を返せば、置けない場面では困るということです。
そして置けなくて困る原因は、重さではなく、むしろケーブルの長さの方にあります。



デスクに置いて、その前に座って充電しながら使う分にはまったく問題ありません。困るのは、本体を置く場所がない場面に限られます。
たとえば、空港で。
搭乗時間まで時間があり、その間にスマートフォンを充電しておきたい。
ところが内蔵ケーブルが短いので、このモバイルバッテリーを膝や机に置いてスマートフォンだけ手で持つ、という方法を取れない。
やはり指にケーブルのループを引っ掛けて、本体とスマートフォンの両方を持つことになります。
合計するとそれなりの重さなので、腕は段々と疲れます。
もうひとつの手段として、膝の上にバッグを置き、その上に本体を載せてスマートフォンを操作する方法もあるでしょう。
これだと高さも稼げるのでより自然な位置でスマートフォンを使えますが、旅行の時ってそのバッグがまた重かったりしてしんどい。
そして、これらを避けるために1mほどのケーブルを別に持ち歩くのは、本末転倒。
ケーブルがもう少し長ければ、本体を置いたまま操作できました。
重さもありますが、長さがあればそこを緩和できるんです。


結論:置いて使う人に向いています
自宅や出張先でコンセントの数に困った経験がある方、モバイルバッテリー・ケーブル・充電器を1つにまとめて荷物を減らしたい方には、この構造がそのまま答えになります。
壁に挿しておけば本体もスマートフォンも一緒に充電されますし、ケーブルを別に持つ必要もありません。
デスクに置いたまま使う、バッグの中で繋いだまま充電する。
そうした据え置き寄りの使い方が中心なら、内蔵ケーブルの短さは問題になりません。
一方で、手に持ってスマートフォンを操作しながら充電する時間が長い方には、ケーブルの短さと本体の重さが、そのまま負担として返ってきます。
ポケットに入れて身軽に持ち歩きたい方にも、313.3gという重さは向きません。
購入を検討されるなら、自分の充電が「置いて使う」ものか「持って使う」ものか、そこをまず考えてみてください。
判断の分かれ目は、出力でも容量でもなく、そこにあります。
まとめ:荷物は減りましたが、姿勢は選べませんでした
コンセントが1口しかなくても、もう問題ありません。
壁に挿して内蔵ケーブルを繋いで寝るだけで、朝には本体もスマートフォンも回復しています。
挿し替えの手間も、明日の自分に賭ける必要もない。
バッグの中でケーブルが行方不明になることもなくなりました。
バッテリー・ケーブル・充電器が同じ塊になっているので、探しようがありません。
その代わり、バッグに入る塊は313.3g。
軽くはありませんが、3つ持つよりは荷物が減ります。
残った悩みは、ケーブルの長さです。
中身の信頼性と重さが表裏一体であるように、ケーブルを内蔵した身軽さと、その短さも表裏一体。
どちらを取るか。
私としては、置いて使う時間のほうが長い。
だからきっと、これからもお世話になります。






限られた時間の中で 質の高い選択をしたいあなたへ。
迷いをなくすお手伝いができれば幸いです。
※本記事の製品はFaceSec Japan株式会社様よりご提供いただきましたが、評価内容についての指定や監修は受けておらず、実際に使って測った結果を正直に書いています。
※この記事で紹介している商品リンクには、Amazonアソシエイト、楽天アフィリエイト等のアフィリエイトプログラムを利用しています。リンク経由で購入いただいた場合、紹介料をいただく仕組みですが、価格が変わることはありません。






