Noise Master Buds MAX レビュー|「Sound by Bose」の低音で、バンドサウンドが楽しくなった

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Noise(ノイズ)というブランドを、ご存じでしょうか。

私は、今回のお話をいただくまで、名前すら知りませんでした。

聞いたことのないブランドのヘッドホンに、それなりの金額を出せるか。

正直に言えば、私も身構えるほうです。

ただ、届いた実機を手に取って、目に留まる箇所がありました。

「Sound by Bose」の文字です。

あのBOSEが、このヘッドホンの音を仕上げている。

パッケージのSound by Bose表記
ホノブ

今回はKibidango Store(きびだんごストア)様から実機をご提供いただいてのレビューです。提供品ですが、いつもどおり、良いところも引っかかったところも書きます。そうでなければ、私が書く意味がありません。

結論から言えば、その音質は本物でした。

BOSEサウンドが全体を下支えし、高い解像度で各楽器が鳴り響きます。

予想外だったことに、私はこのヘッドホンのおかげで、10年以上前によく聴いていたバンドにまた戻ることになりました

聴き慣れたはずの曲から、聴いたことのないフレーズが出てくる

そういう体験を、ここ数週間ずっと繰り返しています。

この記事では、手持ちのApple AirPods Pro 3とUGREEN HiTune Max5cを加え、同じ曲を実際に聴き比べた結果も書いていきます。

函館市電(路面電車)に持ち込んで、ノイズキャンセリングの効き具合も試してきました。

そして、褒めるだけでは終わりません

このヘッドホンには、私が「使いものにならない」と断じた機能がひとつあります。

その理由も、代わりに何を使えばいいのかも、あとで丸ごと書きます。


このヘッドホン、ひとことで言うと
  • これって何?
    BOSEが音の設計を手がけた、40mmドライバー搭載のオーバーイヤー型ノイズキャンセリングヘッドホン。
    全体を包む良質な低音が持ち味で、バンドサウンドを聴くのがとにかく楽しくなります。
  • 誰におすすめ?
    ロックやバンドサウンドを、音圧のある音で浴びたい方。
    イヤホンの装着感に疲れて、ヘッドホンに移りたい方。
    電車やバスでの移動時間を、静かに過ごしたい方。
    スマホとタブレットを行き来しながら音楽や動画を楽しむ方。
    充電の頻度をとにかく減らしたい方。
  • 良いところ
    「これぞBOSE」と言いたくなる、量感と質の両立した低音。
    低音が主役なのに、各パートが埋もれずに分離して聴こえる。
    公称60時間が誇張に感じられないほどの電池持ち。
  • 注意点
    アプリのカスタムイコライザーが、実用的ではない。
    高音質コーデックはLHDCのみで、対応するスマホが限られる。
    有線接続には非対応。
  • どこで買える?
    Noise Master Buds MAX|Kibidango Store(きびだんごストア)
    (当ブログ読者向けに、3%OFFが適用される専用リンクをご用意いただきました)
ホノブ

【この記事を書いた人】
ホノブ|30代・2児の父。イヤホンとヘッドホンを場面ごとに使い分けています。今回は手持ちのApple AirPods Pro 3とUGREEN HiTune Max5cを同じ曲で聴き比べ。提供品ですが、使えないと判断した機能もそのまま書いています。

Noise Master Buds MAX(Sound by Bose)
総合評価
( 4 )
メリット
  • BOSE監修の低音が全体を支え、ライブ会場のようなグルーヴ感
  • 低音が濃いのに解像度が高く、どのパートも分けて聴き取れる
  • オーバーイヤーの遮音とANCで、路面電車の走行音がほぼ消える
  • 二晩つけっぱなしにしても残量が2割残る電池持ち
  • デュアルペアリングでiPhoneとiPad Airをほぼシームレスに行き来できる
  • ヘッドホン本体の質感と色味の作り込みが良く、人と被りにくい
デメリット
  • カスタムイコライザーをどう設定しても音がこもり、実用に耐えない
  • 有線接続に対応していない
  • 高音質コーデックがLHDCのみで、対応スマホが限られる

購入先の話を、先に。

この製品は、Kibidango Storeというオンラインストアで販売されています。

聞き慣れない名前だと思うので、簡単にご説明を。

運営しているのは、購入型クラウドファンディング「Kibidango」を手がける、きびだんご株式会社です。

このストアでは、クラウドファンディングで支援を集めて世に出た製品のうち、その後も継続して販売できるようになったものを中心に扱っています。

国内ではここでしか取り扱いのない製品も少なくありません。

本機も、オンラインでの購入先はこちらのストアになります。

ホノブ

「クラウドファンディングで成功した人気商品を購入できる場所」と考えるとわかりやすいと思います。私も今回のお話をいただいて、初めてじっくり眺めました。

Amazonや楽天で完結しない買い物は、それだけで一段ハードルが上がるかもしれません。

そのハードルを越えるだけの価値があるのか。

この記事は、その答え合わせの意味もあると思って読んでいただければ幸いです。


Kibidango Store様より、当ブログの読者向けに3%OFFが適用される専用リンク⇧をご用意いただきました

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目次

Noise Master Buds MAXのスペック

項目内容
製品名Noise Master Buds MAX(Sound by Bose)
形式オーバーイヤー型(密閉型)
重量262g
ドライバー40mm
周波数特性20Hz 〜 20,000Hz
マイク5基
Bluetoothv5.4(通信距離10m)
対応プロファイルA2DP / AVRCP / HFP / HSP / SPP / AVDTP
対応コーデックLHDC 5.0(SBC、AACにも対応 ※実機確認済み
ノイズキャンセリング最大40dB(ANC ON・OFF / アダプティブANC / 外音取り込み)
再生時間ANC OFF:音量50%で約60時間/ANC ON:音量50%で最大48時間
充電時間最大60分(急速充電:10分で最大10時間再生)
充電ポートUSB Type-C
防水性能IPX4(生活防水)
カラーTitanium / Silver / Onyx(black)
メーカー保証購入日から1年

特別機能

機能内容
Google Fast PairAndroidデバイスとの素早いペアリングに対応
空間オーディオ(Spatial Audio)ヘッドトラッキングなし(頭の動きに音の定位は追従せず、常に正面から聞こえます)
デュアルペアリング2台のデバイスに同時接続可能
紛失防止機能ヘッドホンを探す(Find my Headphone)
アプリ対応専用アプリによるカスタマイズに対応
装着検出着脱に合わせた自動再生・一時停止

【※本記事のスペックの出典について】
本記事に記載したスペックは、実機での確認、同梱の日本語マニュアル、および販売元であるKibidango Store(きびだんごストア)の掲載情報に基づいています。実機で確認できない項目については、販売元の掲載範囲を超える記述はしていません。

本記事は、Kibidango Store様より製品をご提供いただき作成しております。

Noiseはどこのブランド?

Noiseは、2014年にインドで創業したオーディオ・ウェアラブルブランドです。

日本での知名度はまだ高くありませんが、本国では大きなシェアを持つブランドとして知られています。

Master Budsシリーズには、本機のほかにイヤホンもラインナップされています。

そしてシリーズ最大の特徴は、あのBOSEから戦略的出資を受け、共同開発されている点です。

その関係のもとで生まれたのが、ヘッドバンドに刻まれた「Sound by Bose」

ヘッドバンドに刻まれたSound by Bose

BOSEのロゴを冠したヘッドホンが、BOSEの製品ラインナップとは別の価格帯で出てくる

この構図が気にならないオーディオ好きは、そう多くないでしょう(私は完全に食いつきました)。

LHDC 5.0対応。ただし、私の環境では未検証です

対応コーデックとして、LHDC 5.0が公表されています。

ここは、はっきりさせておきます。

私の手元にLHDC対応機がないため、LHDCでの音は聴けていません。

検証に使ったのは、毎度おなじみiPhone 16 Proです。

手持ちの古いAndroidスマートフォンではSBCとAACでの接続を確認しましたが、LHDCには対応していませんでした。

したがって、iPhoneとの接続はAACです。

この記事で書く音質評価は、すべてAAC接続での話になります。

ホノブ

逆に言えば、これから書く音の話は「AAC接続でこれ」ということです。LHDCが使える環境をお持ちの方は、もう一段上が待っていることになります。うらやましい。


開封|Onyxという色名の意味が、光を当てて初めてわかった

3色のカラーのうち、私が選んだのはOnyx(black)。

黒い箱から出てくるのは、黒いヘッドホン。以上。

そう思って写真を撮り始めたのですが、撮影中に手が止まりました。

角度を変えると、光の反射する面だけがグレーがかった金属質の表情に変わるのです。

ヘッドホン外観

塗り潰した黒ではなく、面の向きで濃さが変わる黒

実機をこの目で見て、テンションが上がった私をどうか想像してみてほしいです(笑)

音を聴いていないこの時点で、すでにワクワクドキドキしていました。少年か(笑)

同梱物

箱を開けて出てきたのは、次のものでした。

  • ヘッドホン本体
  • 収納ポーチ
  • USB Type-Cケーブル
  • ステッカー
  • 簡易マニュアル(QRコードから日本語の詳細マニュアルとアプリにアクセスできます)
ヘッドホン本体と同梱物
紙の簡易マニュアルは薄いですが、QRコードのその先が親切

紙のマニュアルは1枚ものですが、QRコードを読み込むと日本語の詳細マニュアルにたどり着けます。

私も、ボタン操作の全体像はこの詳細マニュアルで把握しました。

翻訳が怪しくて意味がわからない、という箇所はありません。

ビルドクオリティは、価格帯を疑うレベル

ここは褒めるところしかありませんでした

ヘッドバンドを伸縮させても、アームを回しても、きしみ音が一切しません。

可動部の動きはスムーズそのもので、引っかかる感触もない。

イヤーパッドは柔らかく、指で押すと素直に沈みます

そして全体の色味に、部位ごとのムラがありません。

地味に助かる、イヤーパッド内側のL/R表記

イヤーパッドの内側に、LとRが書かれています。

ヘッドホンを手に取ってから装着するまでの、あの一瞬の迷いがなくなります。

LRのわかりやすさ

操作は、すべて物理ボタン

タッチセンサー式ではなく、物理ボタンで操作します。

クリック感が良く、確かに操作した手応えを感じられます

マニュアルに記載された操作を整理すると、次のとおりです。

ボタン操作動作
モード切替1回押しノイズキャンセリング関連の4モード切替(内容は後述)
モード切替ダブルプレス空間オーディオ/ミュージックモードの切替
モード切替2秒長押しボイスアシスタント起動
電源1回押し再生/一時停止・通話の応答/終了
電源2回押しペアリングモード
電源2秒長押し電源オン
電源5秒長押し電源オフ
+/−1回押し音量調整
+/−2秒長押し次のトラック/前のトラック

このほか、装着検出にも対応。

右のイヤーカップを外すと、再生が一時停止します。

つまり、来客対応や別の部屋に行く際、ヘッドホンを外せば音が止まる。

慣れると、電源ボタンを探さなくなります。


Noise Audioアプリでできること

本機は、Noise Audioという専用アプリと組み合わせて使います。

アプリでできることを整理すると、次のとおりです。

できること内容
ノイズキャンセリングの強度選択「低・中・最大」から事前に選びます。本体のボタンでANCを選んだとき、ここで選んだ強度が適用されます
イコライザーの切替Default(Sound by Bose)とカスタムの切替。カスタムについては、後ほど1章まるごと使って書きます
デュアルペアリングの有効化2台同時接続を使うためのトグルです(使い勝手は後述します)
ファームウェアの更新初回起動時に、さっそく更新が入りました
ホノブ

ノイズキャンセリングの強度をアプリ側で決めておく設計は、慣れると合理的です。本体のボタンを何度も押して強度を探る必要がありません。


音質|これぞBOSE、と言いたくなる低音

聴き比べに使った3機種と環境

音の評価は、言葉だけだと個人の感想で終わってしまいます。

そこで今回は、手持ちの2機種と同じ曲を、同じ環境で聴き比べました。

主な接続先
iPhone 16 Pro(Apple Music/コーデックはAAC)

比較した3機種

  • Noise Master Buds MAX(本機・イコライザーはDefault=Sound by Bose)
  • Apple AirPods Pro 3(カナル型・ノイズキャンセリングイヤホン)
  • UGREEN HiTune Max5c(オーバーイヤー型・ノイズキャンセリングヘッドホン)

聴いた曲

  • ポルカドットスティングレイ「テレキャスター・ストライプ」
  • サカナクション「いらない」
  • Base Ball Bear「すべては君のせいで」「HUMAN」「Tabibito In The Dark」「十字架 You and I」「kodoku no synthesizer」「魔王」
ホノブ

このブログでたくさん露呈している私の趣味、今回も大公開です。ですが具体的な曲名を出さないと、音の話は何も伝わりませんので。

3機種比べた写真

ポルカドットスティングレイ「テレキャスター・ストライプ」

まずは、ギター・ベース・ドラムの役割がはっきりしている曲から。

UGREEN HiTune Max5c
バッキングのギターがぼやけていて、これが「こもり」の原因に。

今となっては音そのものが薄く聴こえ、音圧も物足りない

前はそんなこと感じなかったのに。

Apple AirPods Pro 3

全体的にシャキッとした、硬質な鳴り方

スネアとハイハットが若干目立つ傾向があります。

音圧は高くありませんが、バランスが良くフラットに聴かせる性質で、分離感も優秀

各パートを聴き分けるのは容易。

Noise Master Buds MAX

バッキングが埋もれることなく全体の雰囲気を支え、それでいて各パートを分けて聴き取りやすい。

さらにリードギターのフレーズが鮮明に出るので、ボーカルと重なっているフレーズまで判別できました。

BOSE監修は伊達ではなく、低音の「質」の違いも聴き取れます

全体の音を、質の良い低音が下から支えている格好

バスドラムとベースの動きが、特にわかりやすい。

それでいて、こもった音にはならない。

3機種の中で、この曲をいちばん気持ちよく聴けたのは本機でした。

サカナクション「いらない」

電子音と生楽器が入り混じる、音数の多い曲です。

UGREEN HiTune Max5c

おかしい。音が薄い。

曲の始まりからして薄い。というか、軽い?

当初はいい音だと思って疑わなかったのに…。

そしてやはり、少しこもった印象も受けます。

解像度が、他の2機種と比べて一段落ちる感覚。

Apple AirPods Pro 3

とにかくフラット。

余計な味付けをしたサウンドではありません

解像度が高く、どのパートも聴き分けられます。

「こもり」とは無縁の、クリアな音質

ただ、ここでも音圧は足りません。

Noise Master Buds MAX

ひとことで言えば、重厚。

低音の質が圧倒的に良いのに、他の音が押し潰されません

ボーカルは伸びやかに、パーカッションもリフも埋もれずに聴こえます。

音数が多い曲なのに、こもった印象がない

中盤のギターも、ハッキリ聴こえました。

Base Ball Bear「すべては君のせいで」

バンドサウンドとの相性が良さそうだと感じ、ここから聴くバンドを変えました。

UGREEN HiTune Max5c

やっぱり、初っ端から音が軽い。

「あれ、こんな感じだったっけ?」が、これで三度目

Apple AirPods Pro 3

フラットで、耳馴染みが良い

分離感が良いので、各パートのフレーズがハッキリします。

Noise Master Buds MAX

きらびやかなカッティングの音もハッキリ聴こえるのに、やはりベースラインとバスドラが良い

音量を上げると、低音が心臓に響いてきます。

サビでは、今まで聴こえていなかったギターのフレーズまで浮かんできました。

そして特筆したいのが、ベースラインのアタック感の違いが、曲の中で判別できたことです。

ピッキングを変えているのが、聴いてわかる。

ホノブ

この時点でベースを弾きたくなりました。買いません。買いませんが、弾きたくなりました。

Base Ball Bear「HUMAN」

最初の数秒で、「おお…」と声が出ました。

曲入りのドラムが、人生でいちばんきれいに聴こえたのです。

この曲は、ギターリフ・ベース・ドラムというシンプルな土台にボーカルが乗る構成です。

その一つひとつが、分離感を保ったまま伝わってきます

それでいて、まるで目の前でライブが行われているかのようなグルーヴ感。

サビに入って2本のギターが鳴り響き始めても、その迫力は途切れません。

ベースとドラムという土台の上に、ギターがきっちり立っている

コーラスのかかったバッキングも、輪郭を保ったままでした。

Base Ball Bear「Tabibito In The Dark」ほか3曲

残る曲についても、短く記録しておきます。

「Tabibito In The Dark」

ベースのタッチ具合すらわかる明瞭さでした。

「十字架 You and I」

ギターのカッティングも、ドラムのアタック感も、うねるようなベースも。

いまだかつてないくらい、この曲が楽しい

それに尽きます。

「kodoku no synthesizer」

シンプルなベースラインも、その上に乗る歌詞を聴かせるボーカルも、どちらもクリア。

中盤のサビ後に、これまで聴いたことのなかったギターのフレーズが浮かび上がりました。

「魔王」

広めのホールに響き渡るような歌声です。

他のパートもそうですが、過去いちばん曲の広がりを体感できました。

デスクの上に置いているスピーカーよりも、音場を広く感じたほどです。

デスク上のスピーカーとヘッドホン

上位の音を知ることは、パンドラの箱を開けることでした

ここまで読んで、引っかかった方がいるはずです。

UGREEN HiTune Max5cについて、私は過去に良い評価をした記事を書いています。

こちらの記事です

あの記事に嘘は書いていません。

あの時点の私の耳には、確かに良い音として届いていました

けれど今回、同じ曲を3機種で並べて聴いて、三度「あれ、こんな感じだったっけ?」と口に出しました。

これは製品が変わったのではなく、私の耳の基準が動いたということです。

この数ヶ月、AirPods Pro 3を使い、イヤーカフ型を試し、そして今回Noise Master Buds MAXで聴きました。

聴き比べを重ねるほど、以前は気にならなかった薄さや軽さが、はっきり感じるようになる

いい音は、パンドラの箱かもしれません。

ホノブ

開けなければ、幸せに聴き続けられたのでしょう。でも開けてしまった以上、書かないという選択肢はありません。

念のため補足しておくと、UGREEN HiTune Max5cが悪い製品になったわけではありません。

価格帯がそもそも違いますし、あの手軽さと気楽さは今も価値があります。

比べる相手が変われば、評価も変わる。

それだけの話です。

音場の広さと定位

音場については、曲にもよりますが、十二分に広く感じます。

そのうえで定位が良い。

だからバンドサウンドでは特に、各パートの立ち位置を想像しながら聴けます

ドラムがここで、ベースがここ、ギターがこの辺り。

頭の中に配置図ができる感覚です。

空間オーディオは「雰囲気を変えるスイッチ」

モード切替ボタンをダブルプレスすると、空間オーディオとミュージックモードを切り替えられます。

もちろんアプリ上でも操作可能です。

ただここは、先に期待値を下げておきます。

Dolby Atmosに対応する音源をAirPods Pro 3で聴いたときのような音空間の広がりは、ここにはありません。

ただ、音場がふわっと軽く広がる感覚はあります。

デフォルトではストレートに響いてくる音が、遠くに配置されたスピーカーから聴こえてくるような雰囲気に変わる

これはこれで、悪くありません。

ひとつ、仕様として押さえておきたい点があります。

本機の空間オーディオは、ヘッドトラッキングに対応していません。

頭を動かしても音の定位は追従せず、常に正面から鳴ります。

AirPods Pro 3で感じるあの「音が空間に固定される」感覚とは、そもそも設計が違うわけです。

音質を上げる機能ではなく、雰囲気を切り替える機能

そう理解しておくと、期待値を外しません。

6曲を通して見えた、この音の性格

ここまでの試聴を、一度整理しておきます。

まず、低音が土台として全体を支えています

低音を「強調」しているのではなく、下から持ち上げている感覚です。

だからバスドラムとベースの動きが常に見えるのに、その上に乗る音が押し潰されません

次に、その土台の上で各パートが分離します。

低音の濃いヘッドホンは、しばしば中高音がぼやけます。

本機はそこが崩れません。

6曲のうち3曲で、「これまで聴こえていなかったフレーズ」が出てきました。

これは解像度と音場の広さが、同時に成立していることの表れだと考えています。

そして三つ目が、音圧です。

小さめの音量でも、音が痩せません

この性質は、次のノイズキャンセリングの話に直結します。

音量を上げなくても外の音が気にならないという体験の正体は、ここにあります。

ホノブ

バンドサウンドが楽しいのは偶然ではなく、低音・分離・音圧の3つが同時に噛み合っているからです。逆に言えば、静かなピアノ曲やアコースティック中心の曲では、この個性は控えめに出ます。


ここは正直に。カスタムイコライザーは使いものになりません

ここまで、褒めるところばかり書いてきました。

ひとつだけ、はっきりお伝えしておかなければならないことがあります。

Noise Audioアプリで設定できるカスタムイコライザーは、実用に耐えません。

どういじっても、こもります

低音を持ち上げても、高音を持ち上げても、フラットに戻しても。

なんなら下の画像のように、Default(Sound by Bose)と同じような波形にしても。

どの設定にしても、音がこもりますものすごく

納得のいく音質には、絶対になりません。

これは、さすがにいただけない部分です。

イコライザーとしての存在価値が、事実上ないわけですから。

右がカスタムEQ。スライダーが3つしか出ないのはiOS向けアプリだから。Android向けは5つ。

だからこの製品は「Default」で使うものだと考えています

ただ、ここで話を終わらせると一面的になってしまいます。

なぜこうなっているのかを考えると、この製品の性格が見えてきます。

このヘッドホンには、Default(Sound by Bose)という初期設定があります。

BOSEが仕上げた、そのままの音

そして本機の魅力は、まさにその音そのものにあります

クリアさを保ちながら全体を包む低音は、ユーザーがスライダーを動かして作れるものではありません。

つまり本機は、Default(Sound by Bose)で使う前提で作られた製品です。

イコライザーで自分好みの音を作り込みたい方には、その入り口がありません。

BOSEらしい音が好きな方にとっては、そもそも触る必要のない機能ということになります。

ホノブ

私も、Defaultの音に不満がありません。だからこの欠点で購入を取りやめるかと言われると、答えはノーです。ただ、「あるのに使えない」という事実は、隠さずに書いておきます。

同じ切替系の機能でも、先ほどの空間オーディオは使えます。

雰囲気を変えたいときの選択肢として、こちらは使う価値があります。


ノイズキャンセリング|函館市電で試してきました

自室での検証だけでは、ノイズキャンセリングの話は完結しません。

そこで、函館市電に乗ってきました。いわゆる路面電車です。

函館に住んでいると、市電は生活の足。

そして車両によっては、レール音もモーター音も、乗客の声も、それなりに主張してきます。

自室で「静かになりました」と書くより、この環境で試したほうが、読んでくださる方の役に立つはずだと考えました。

最初にお断りしておきます

公称値は最大40dBです。

外箱にも、この数値が記載されています。

ただ、私はdBを実測する機材を持っていません。

ですので、公称値そのものの正しさについては言及しません

ここから書くのは、すべて体感の記録です。

比較対象には、ワイヤレスイヤホンの中でも屈指のノイズキャンセリング性能を持つApple AirPods Pro 3を使いました。

函館市電での実地検証

条件を先に書いておきます。

  • 時間帯:20時ごろ
  • 混雑状況:座席がすべて埋まる程度。立っている人は少ないものの、仕事帰りと思しき人や観光客の会話はよく聞こえる
  • 窓:一部開いていた
市電車内で確認できたこと
  • ANCオフのとき
    オーバーイヤーの形状のぶん、ある程度は物理的に遮られます。
    「ゴトンゴトン」「ガシャガシャ」という電車らしい音は耳に入ります。
    特に高めの音が耳に入って来やすい印象。
    AirPods Pro 3よりは、外の音が聴こえます。
  • ANCオンのとき
    サァーーーという低いレール音は、ほぼ入らなくなります。
    人の会話はAirPods Pro 3より聴こえやすいものの、内容までは聞き取れません。
    音楽を流せば、うるさいと感じる音量にしなくても周囲の音はほぼ聴こえなくなります。
  • ANCオン時の車内アナウンス
    かすかに聞き取れる程度。
    男性運転士の低い声はある程度届きます。
    それより高い声である女性の自動案内は、耳に入ってきます。
    ただし音楽を流すと、やはりいずれの声も聴こえなくなります。
    降車する停留場を音声案内で判断したい方は、音楽を止めるか、透過モード(外音取り込みモード)に切り替えておいたほうが良いでしょう。
ホノブ

仮に乗り過ごしたとしても、さほど大怪我はしません。横なぐりの雪が降る真冬以外は。

なお、窓が開いていたためですが、風が当たると風切り音が気になりました。

これは屋外や窓際の席で使う方に、あらかじめお伝えしておきます。

4つのモードの使い分け

モード切替ボタンを1回押すごとに、次の4つが順番に切り替わります。

モード内容
ANCノイズキャンセリング。アプリで「低・中・最大」から選んだ強度が適用されます
アダプティブANC周囲の騒音レベルに応じて、強度が自動で調整されます
透過モードいわゆる外音取り込みモードです
ノーマルノイズキャンセリングも外音取り込みも使わない状態です

アダプティブANCは、本当に環境で変わりました

これはどこまで変化があるか気になっていた機能ですが、実際に挙動が変わりました。

市電車内では、ANCを「強」にした状態と同じ静けさになります。

一方、閑静な住宅街を歩いているときは違いました。

この環境で耳に入るのは、ちょっとした車の走行音くらいです。

それらは「弱」で処理できてしまう程度の騒音で、アダプティブ時も「弱」と同じような状態でした。

周囲の音量レベルに合わせて、きちんと調整されています。

AirPods Pro 3と比べてどうか

結論を書きます。

静けさそのものでは、AirPods Pro 3にわずかに届きません

ただ、実用上はほとんど問題になりませんでした。

理由は、オーバーイヤーの形状と、音圧のある音の組み合わせにあります。

音楽を流している限り、周囲の騒音を気にせず没頭できる。

「無音を作る力」ではAirPods Pro 3が上でも、「音楽に集中させる力」では本機が引けを取りません

透過モードは、少しうるさく感じました

外音取り込みは、自然に聴こえます。

ただし、すべての音が増幅されて聴こえるイメージです。

はっきり言って、ちょっとうるさい。

AirPods Pro 3よりも周囲の音を拾いやすいようで、他の人の会話がかなり聞き取りやすくなります。

必要なときだけ切り替えて使う機能、という位置づけになりそうです。

パッシブ遮音とANC、どちらに頼るか

オーバーイヤー型は、物理的な遮音(パッシブ遮音)にも期待したくなります。

ただ、実際に試した感触では、パッシブ遮音だけでそこまで静かにはなりません。

せっかくANC機能があるのですから、使わない理由はないと考えています。

例外があるとすれば、長時間のフライトなどで充電残量を気にする場面でしょうか。

そういうときはANCをオフにする運用もありえます。

ですが日常の移動では、ANCを活用したほうが確実に高い効果を得られます。


装着感|メガネ族が3時間つけてみました

私はメガネをかけています。

オーバーイヤー型ヘッドホンを検討するとき、ここが最大の懸念点になる方は多いのではないでしょうか。

いちばん長く連続で装着したのは、3時間ほどです。

机に向かって作業していた時間帯ですが、疲れは出ませんでした

側圧が強すぎることもありません

メガネとの併用でも、痛みは出ませんでした。

ただし、どうしてもメガネがヘッドホンで固定される形になります。

もし当たりがきつく感じたら、メガネの位置を少しずらすだけで快適になります。

イヤーパッドの柔らかさ
この柔らかさが、3時間の余裕を作っています

262gという重量も、数字ほどには気になりません。

カナル型イヤホンであるAirPods Pro 3と比べれば当然重いのですが、首や頭への負担は感じませんでした

蒸れについても、ひとこと。

炎天下の屋外でオーバーイヤーヘッドホンを使う方はそう多くないはずなので、その状況には言及しません。

函館の夏を室内で過ごす程度であれば、蒸れて不快になることはありませんでした


バッテリーと接続|二晩放置しても、2割残っていました

エイジングで二晩つけっぱなしにしてみました

音を馴染ませるつもりで、二晩ほど鳴らしっぱなしにしてみました。

しかもANCをオンにしたまま、です(今思えば無駄もいいところ)。

それでも、バッテリーは20%程度残っていました

公称は、ANCオンで音量50%のとき最大48時間。

この実験の結果を踏まえれば、公称どおりの電池持ちを期待していいと考えています。

パッケージと本体

急速充電は、実感する機会がありません

本機は10分の充電で最大10時間再生できる、という急速充電に対応しています。

ただ、電池持ちがあまりに良いので、この機能のありがたみを実感する場面が訪れません

ありがたみを実感できないというのも妙な話ですが、事実なので書いておきます。

満充電までの速さについては、実感があります

お昼ごはんを食べに行く前に充電を始めて、外から戻ってきたら完了していました。

接続の安定性は、条件付きで報告します

使用期間中、音が途切れたことは一度もありません。

ただし、これは函館という、そこそこ田舎な街で使った結果です。

人混みといっても、程度が知れています。

大都市の通勤ラッシュ時の電波環境を考えると、ここで良し悪しを断言することはできません。

もうひとつ付け加えると、仮に音が途切れたとして、それがヘッドホン側の問題なのか、接続先のスマホ側の問題なのか。

この切り分けも、簡単ではありません。

ですので、この項目は「函館での使用では途切れなかった」という事実だけをお伝えします。

デュアルペアリングが、想像以上に便利でした

アプリでデュアルペアリングを有効にしたうえで、電源ボタンを2回押してペアリングモードに入り、2台目を接続する。

これでiPhoneとiPad Airの両方に繋がった状態になります。

そして、音が鳴ったほうに自動で接続が切り替わります

ホノブ

めちゃくちゃ便利です。iPadで動画を観ていて、iPhoneに通知が来て音を聴く、という動きが手ぶらで完結します。

複数のデバイスを行き来する方にとって、この機能の有無は使い勝手を大きく左右するでしょう。


持ち運び|折りたたんでも、大きいものは大きい

収納袋と本体

ここは、期待しすぎないでください。

オーバーイヤーヘッドホンなので、折りたたんでもさほど小さくはなりません。

ただし、イヤーパッド部分を折りたためば、付属のポーチにきちんと収まります。

これが実用面で結構効きます。

バッグの中で他の荷物とこすれて、ハウジングに傷が入るといった事故を防げます

持ち運びを想定するなら、ポーチはぜひ使ってください。

収納袋に本体を入れた状態

なお、ポーチは布製で、ハードケースのような保護力はありません。

バッグの中で潰されるような入れ方は避けたほうが安全です。


よくある質問

Q. Noiseはどこのブランドですか?

A.2014年にインドで創業したオーディオ・ウェアラブルのブランドです。BOSEから戦略的出資を受けており、本機の「Sound by Bose」表記はその関係によるものです。

Q. ノイズキャンセリングはどれくらい効きますか?

A.公称は最大40dBです。実測機材がないため公称値への言及は控えますが、函館市電の車内では、レール音のような低い音がほぼ聴こえなくなりました。

Q. iPhoneでも音は良いですか?

A.良いです。この記事の音質評価は、すべてiPhone 16 ProとのAAC接続で行っています。AAC接続でこの鳴り方をします。

Q. LHDCは使えますか?

A.LHDC 5.0に対応していますが、再生側の機器もLHDCに対応している必要があります。私の環境にLHDC対応機がないため、この記事では未検証です。

Q. メガネをかけていても使えますか?

A.使えます。当たりがきつく感じたら、メガネの位置を少しずらすだけでなんとかなります。

Q. 有線接続はできますか?

A.できません。USB Type-Cポートは充電用です。

Q. 電池はどれくらい持ちますか?

A.公称はANCオフ時が音量50%で約60時間、ANCオン時が音量50%で最大48時間です。ANCをオンにしたまま二晩鳴らし続けても、残量は2割ありました。

Q. 空間オーディオはどんな機能ですか?

A.アプリ上かモード切替ボタンのダブルプレスで切り替えます。音質を底上げする機能ではなく、音場の雰囲気を変える機能です。

Q. 複数機器を同時に繋げますか?

A.2台まで繋げます。音が鳴ったほうへ自動で切り替わります。

Q. 長時間つけていて疲れませんか?

A.連続で装着した最長は3時間ほどですが、疲れはありませんでした。側圧も強すぎません。

Q. どこで買えますか?

A.オンラインではKibidango Storeで購入できます。当ブログの読者向けに3%OFFが適用される専用リンクをご用意いただいているので、記事内のリンクからお進みください。

Q. 保証はどうなっていますか?

A.メーカー保証は購入日から1年です。これとは別に、Kibidango Storeで購入した場合の初期不良対応は、お届け後7日以内という設定になっています。この2つは別のものなので、混同しないようご注意ください。


総合評価|向いている人・向いていない人

このヘッドホンは、万人向けではありません。

低音が土台としてハッキリそこにあり、各楽器が分離する。

このように音の方向性がはっきりしている分、ハマる人には強く刺さり、合わない人には最初から選択肢に入らないでしょう

その線引きだけ、ここで明確にしておきます。

こんな人におすすめ
  • ロックやバンドサウンドを、音圧を感じながら楽しみたい方
  • 低音の量感と、パートごとの分離感を両立させたい方
  • イヤホンの装着感に疲れて、オーバーイヤー型に移りたい方
  • 電車やバスでの移動時間を静かに過ごしたい方
  • 人と被らないデザインのヘッドホンを探している方
  • 2つのデバイスを行き来する方
  • 充電の頻度を減らしたい方
こんな人には向かないかも
  • イコライザーで自分好みの音を作り込みたい方
  • 有線接続でさらに上の音質を狙いたい方
  • LHDC以外の高音質コーデックを求める方
  • とにかく無音に近い静けさを最優先したい方
  • できるだけ小さく畳んで持ち歩きたい方

まとめ|聴き慣れた曲が、また新しくなりました

このヘッドホンを人に勧められるか。

答えは、はっきりイエスです。

カスタムイコライザーは使いものになりませんし、有線接続にも対応していません。

iPhoneとのAAC接続でこの音が出るなら、有線でその先を聴いてみたい

そう思わせておいて、その道は用意されていないわけです。

高音質コーデックの選択肢も、広くはありません。

書いてきたとおり、弱点のない製品ではありません

それでも★4をつけたのは、この製品がいちばん大事なところで手を抜いていないからです。

イコライザーをDefault(Sound by Bose)にして鳴らしたときの、あの低音

量感がありながら濁らず、他のパートを押し潰さずに全体を支える鳴り方

これは、スライダーをいくら動かしても作れるものではありません。

そして私は、このヘッドホンのおかげで、Base Ball Bearを聴き直す毎日を過ごしています。

10年以上前に聴き込んだはずの曲から、知らないギターのフレーズが出てくる。

ベーシストがピッキングを変えた瞬間が、耳でわかる。

音楽の聴き方が変わる、という言い方は少し大げさかもしれません。

ですが、手持ちの音楽ライブラリがまるごと新品になったような感覚は、確かにありました。

同じサブスクの、同じプレイリストです。

再生している音源は、何ひとつ変わっていません。

変わったのは、それを鳴らす機械だけ

それだけで、10年聴いてきた曲から知らない音が出てくる。

オーディオガジェットにお金を出す意味は、たぶんここにあります

聞いたことのないブランドのヘッドホンに、それなりの金額を出せるか。

冒頭でそう書きました。

私の答えは、このヘッドバンドに刻まれたあの一文を信じてよかった、です。

ヘッドバンドに刻まれたSound by Bose

Kibidango Store様より、当ブログの読者向けに3%OFFが適用される専用リンク⇧をご用意いただいております

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限られた時間の中で 質の高い選択をしたいあなたへ。

迷いをなくすお手伝いができれば幸いです。


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