MATECH PowerBlade 10000レビュー|半固体なのに12.9mm

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厚みがあっても安全性を取るか、持ち運びやすい薄さを取るか

モバイルバッテリーの発火事故が報じられるたび、この分かれ道が頭をよぎります。

発火しにくいとされる半固体(準固体)電池を積んだ製品は、この1〜2年で一気に増えました。

ただ、iPhone充電約2回分となる10,000mAhの容量で半固体電池となると、どうしても厚く、重くなります

実際、旅行のお供にと定めた準固体電池採用のSatray SSB10proは18.7mm・235g。

ワイヤレス充電もスタンド機能もある全部入りで、移動中の安心感でこれに勝るものはないと思っています。

その一方で、日々使うバッグには別の薄型を入れていました。

つまり、薄さに特化した一般的なリチウムイオンバッテリーの日常用も、半固体(準固体)電池を採用して安全性を高めた旅行用も私の手元には揃っていて、今回の買い物は本来、その必要性はなかったわけです。

それでも私は、「MATECH PowerBlade 10000 SemiCore」を注文してしまいました。

理由は、厚みと重さ(12.9mm・179g)

半固体電池を採用していながら、この数字なのです。

とはいえ、正直に申し上げておきます。

この製品、スペック表だけを眺めると中途半端に見えます

単なる薄型モバイルバッテリーとして見れば、12.9mmは最薄ではありません。

同じMATECHのラインナップには、半固体電池ではないですが、10,000mAhで10.8mmという、より薄いモデルすらあります。

そのうえ背面のマグネットでiPhoneに貼りつくくせに、ワイヤレス充電はできませんしスタンドもない。

薄さで一番でもなく、機能が全部入りでもない。

では、ワイヤレス充電もスタンド機能も諦めて、半固体電池以外に何が残っているのか。

内蔵USB-Cケーブルと、最大35Wの急速充電です

貼って、有線。

つまり、これを選ぶとケーブルという荷物が減るのです。

置くだけでは充電されません。挿します

そして今、毎日のバッグに入っているのはこの1台に替わりました

この製品の価値は、半固体電池による毎日持ち出せる安全な身軽さと、挿した瞬間の速さに尽きます。


このモバイルバッテリー、ひとことで言うと
  • これって何?
    半固体電池「SemiCore」を採用しながら、厚さ12.9mm・179gに収めたモバイルバッテリーです
    ワイヤレス充電を外した代わりに薄さを追求、USB-Cケーブルを内蔵し、最大35Wの急速充電に対応します
    背面のマグネットはMagSafe対応機器に固定するためのもので、置くだけ充電はできません
  • 誰におすすめ?
    外出先でiPhoneを充電する機会が多い方
    カバンの中身をこれ以上ふくらませたくない方
    充電ケーブルを持ち歩くのを忘れがちな方
    いざというときのMacBook用の電源も兼ねたい方
  • 良いところ
    iPhoneの背面に貼ったまま、内蔵ケーブルで最大35Wの有線充電ができます
    同じ容量の半固体系モデルより薄く、毎日カバンに入れても存在を忘れます
    MacBook Airに33Wで給電でき、作業しながらでも残量が増えました
  • 注意点
    2台以上へ同時に給電すると、合計15Wに制限
    内蔵ケーブルを持ち手やループとして使うことはできません(取扱説明書でも禁じられています)
    ワイヤレス充電には対応していません
  • どこで買える? MATECH PowerBlade 10000 SemiCore|Amazon
ホノブ

【この記事を書いた人】
ホノブ|30代・2児の父。北海道・函館在住。東日本大震災を機に、バッグにモバイルバッテリーを入れる習慣が15年続いています。足りているのに買い足した1台が、気づけば常用機になりました。実際に持ち出したうえでの話を書きます。

MATECH PowerBlade 10000 SemiCore
総合評価
( 4.5 )
メリット
  • 半固体電池ながら12.9mm・179gに収まる携帯性の高さ
  • MagSafeで背面に固定したまま、内蔵ケーブルで最大35Wの急速充電ができる
  • iPhone 16 Proを20%から80%まで約1時間で充電(内蔵ケーブル使用時)
  • MacBook Airに33Wで給電でき、使いながらでも残量が増えた
デメリット
  • 2台以上への同時給電は合計15Wに制限される
  • 内蔵ケーブルを持ち手やループとして使うことはできない
  • ワイヤレス充電に対応していない
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目次

基本スペック(メーカー公表値)

先に、仕様を整理しておきます。

以下の数値はすべて、同梱の取扱説明書に記載されたメーカー公表値です。

項目内容
製品名PowerBlade 10000
寸法幅70×高さ110×奥行12.9mm
重量179g
バッテリー容量5,000mAh(2個直列接続)/7.7V・38.5Wh
入力(USB-C1ポート及び内蔵ケーブル)最大27W(5V/3A、9V/3A)
出力(USB-C1ポート及び内蔵ケーブル)最大35W(5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/2.33A、20V/1.75A)
USB-C2ポート出力最大18W(5V/3A、9V/2A、12V/1.5A) ※出力専用端子
複数同時出力最大15W(5V/3A)
サポート規格FCP、SCP、AFC、SFCP、DCP、PD3.0、PPS(5-5.9V/3A、5-11V/3A、最大33W)
保証1年間(製品登録により2年間まで延長可能)

仕様欄を見て、あれ、と思われたかもしれません。

製品名は「10000」なのに、バッテリー容量の欄には5,000mAhと書かれています。

これについて若干の説明を。

本製品は5,000mAhのセルを2個、直列につないでいます。

直列につないだ場合、増えるのは電圧のほうで、容量(mAh)は5,000mAhのまま変わりません。

その分、電圧が2倍の7.7Vになり、バッテリーに蓄えられるエネルギー量としては38.5Whになります。

そして製品名の「10000」は、セル2個分の容量を単純に足した数字。

同じ38.5Whというエネルギーを、3.85V基準で表せば10,000mAh、7.7V基準で表せば5,000mAh。

どちらかが誤りなのではなく、どの電圧を基準に数えたかの違いです。

念のため、はっきり書いておきます。

どちらの数え方をしても、蓄えられている電気は38.5Whで変わりません。

仕様欄に5,000mAhと書いてあるからといって、中身が半分しかないわけでも、10,000mAhという表示が水増しされているわけでもない、ということですね。

5,000mAhのセルが2個入っているのですから、電気の総量はきちんと2個分あります。

減っているのではなく、容量が電圧に姿を変えている、と考えてください。

その上で、正直に書いておきたいことがあります。

本製品は、実際にスマートフォンへ渡せる容量(変換のロスを差し引いた実効容量)を公表していません。

したがって「10,000mAhだからiPhoneを何回充電できる」という逆算は、この仕様表からはできないことになります。

実際にどれだけ充電できたのかは、このあとの実測でご確認ください。

ホノブ

私も最初、容量が半分になっていて戸惑いましたが、計算してみればわかります。数え方が違うだけで、中身のエネルギーは変わりません。


半固体電池「SemiCore」で、12.9mmという意味

この製品の中心にあるのは、電池の中身です。

ここを飛ばすと、本製品はただの「そこそこ薄いバッテリー」に見えてしまいます。

取扱説明書によれば、SemiCoreとはMATECH独自の安全基準をクリアした半固体電池を採用するための品質基準を指します。

製品名ではなく、セルを選ぶときのものさしの名前、ということですね。

半固体電池そのものは、従来のリチウムイオン電池と比べて熱安定性・安全性・耐久性に優れた次世代の技術とされています。

メーカーは充放電の安定性・温度耐性・耐久性などを評価し、基準を満たしたセルだけを採用したと説明しています。

半固体で10,000mAhを積むと、これくらいの厚みになります

ここからが本題です。

半固体電池は安全性の面で期待されている一方で、同じ容量なら厚くなりやすいという現実があります。

10,000mAhクラスの半固体系モバイルバッテリーが、どれくらいの厚みで作られているかを並べてみます。

製品電池容量有線の最大出力ワイヤレス充電厚さ・重量
MATECH PowerBlade 10000(本機)半固体電池(SemiCore)10,000mAh35W非対応12.9mm・179g
エレコム EC-C61MN半固体リチウムイオン電池10,000mAh35W非対応19mm・約220g
CIO SMARTCOBY SLIMⅡ Wireless2.2 Pro SS10K半固体系10,000mAh35WQi2.2 25W17mm・約225g

※数値の出典は、本機が同梱の取扱説明書、他2機種が各メーカー公式サイトの製品ページです。

特に見ていただきたいのは、真ん中のエレコム。

半固体電池で、10,000mAh、有線35W、ワイヤレス非対応。

本機と条件がほぼ一致するモデルでありながら、厚さは19mm、重量は約220gになっています。

ついでに書くと、電池の定格容量の表記も「3.85V/5000mAh×2 38.5Wh」で、先ほど見た本機の38.5Whと同じです。

中身のエネルギー量まで揃っている、と言ってよいでしょう。

一方、ワイヤレス充電まで積んだCIOは厚さが17mm、重量は約225g。

3機種を並べて分かるのは、ワイヤレスの有無だけで厚みが決まるわけではないということです。

同じ電池・同じ容量・同じ出力でも、仕上がりの厚さは各社で数mm単位の幅があります。

その上で、本機は12.9mm・179g

半固体電池を積んだ10,000mAhとしては、かなり踏み込んだ数字だということが見えてきます。

そして、この数mmの差がいちばん効いてくるのは、カバンの中ではありません。

iPhoneの背面に貼り付けたときです。

iPhone 16 Proに貼り付けた状態

iPhone 16 Proの厚さは8.25mm(Apple公式の技術仕様より)。

ここへ本機を重ねると、手が握ることになるのは合計21.15mm

もし17mmのモデルを貼れば、25.25mm

その差は4mmほどですが、握ってみると印象はまるで違います。

厚みが増えるほど指が回り込まなくなり、貼ったまま文字を打つのが億劫になっていくからです。

ついでに、手元のSatray SSB10proでも計算してみました。

18.7mmですから、重ねると26.95mm。

ここまでくると、片手で握り込んだまま操作するのはさすがに厳しい。

Satrayは丸みがあるので握り込めないわけではありません

そう考えると、こちらの製品にスタンドが内蔵されている理由がよくわかります。

握って使うのではなく、置いて使う

18.7mmという厚みは、そう考えれば納得がいく。

同じ「iPhoneに貼れるバッテリー」でも、目指している姿勢がまるで違うわけです。

さらにケースを付ければ、ここに1〜2mmが上乗せされます。

貼って使う前提のバッテリーにとって、厚さの数mmは持ちやすさに直結する数字でした。

ワイヤレス充電を外した代わりに、何を得たのか

ではなぜ、本製品はワイヤレス充電を積まなかったのか。

同じMATECHのラインナップを見ると、事情が見えてきます。

同社には、半固体電池ではなく従来のリチウムイオン電池搭載とはいえ、10,000mAhでワイヤレス充電(最大25W)に対応しながら、厚さ10.8mm・159gという製品があります。

「MagOn Prime Elite Slim 10000」という別シリーズのモデルで、こちらのほうが薄く、軽く、置くだけ充電にも対応しています。

つまりMATECHは、ワイヤレス充電を積んだうえで、世界最薄を謳う10.8mmを実現できるメーカーです。

それでも本機、PowerBladeが12.9mmなのは、同じ土俵にいないからだと考えるのが自然です。

薄さと機能を優先するならMagOn。

安全性の高さで選びたい人のために、半固体電池を積んだ上で、それでもできるかぎり薄くしたのがPowerBladeである。

そう考えると、ワイヤレス充電を外した判断も、内蔵ケーブルと最大35Wをそこへ載せた判断も、一本の線でつながります。

ホノブ

スペック表だけを横に並べると中途半端に見えるのですが、順番に見ていくと、削るところと残すところがはっきりした製品でした。

発熱は、体感でも局所的でした

ここまではメーカーの説明と数字の話です。

私が自分で確かめられるのは、日常使用の範囲での体感まで。

その上で、ひとつだけはっきり違うと感じたことがあります。

熱くなる場所が、局所的でした。

35W付近で給電しているときでも、本体の上半分は温度がほとんど変わりません

温かくなるのは、画面が載っている下部だけ

それも、握りしめても熱いと感じない程度の温度です。

これまで使ってきた一般的なリチウムイオン電池のモバイルバッテリーは、給電中にバッテリー全体がじんわり温かくなる印象でした。

それと比べると、明らかに温度が低く、しかも熱を持つ場所が出力部のあたりに集中しています。

なお本製品は、先ほど書いたとおり電池を直列につないでいる分電圧が上がり、同じ電力を取り出すのに必要な電流が少なくて済む構成でもあります。

半固体電池だけが理由なのか、この構成も効いているのか、そこまでは私には切り分けられません。

ただ、熱に関して有利な条件が重なっているのは確かです。

安全性そのものを試験したわけではありませんから、「燃えない」と言い切ることはしません。

ただ、カバンの中に入れて持ち歩く道具として、この温度の低さは素直に安心材料になりました。


iPhoneはどこまで速く充電できたのか

いちばん多い使い方から確かめました。

iPhone 16 Proを、本体に内蔵されたUSB-Cケーブルで充電します。

測定は、バッテリー残量が20〜50%程度の状態で行いました。

満充電に近い状態では本来の速度が出ず、実力より低い数字になってしまうからです。

TFTの表示を眺めていると、面白い動きが見えました。

充電が始まった直後は20W前後。

しばらくすると数字がぐんと伸びて、最高で28.6Wまで上がります。

そしてiPhoneが熱を持ってきたあたりで、また20W前後まで落ち着く。

上がって、また戻る。この山なりのカーブが、そのまま画面に出ます。

結果として、iPhoneの残量が20%から80%になるまで約1時間でした。

このときバッテリー側の残量表示は67%。まだ3分の2を残しています。

つまり、iPhoneを20%から80%まで戻すのに使ったのは、本機の33%分という計算になります。

単純に割れば、これをあと2回はまかなえる残量。

記事冒頭で「iPhone充電約2回分」と書いたのは、0%から満タンにする使い方に換算した目安です。

20%→80%という実用的な充電であれば、3回分に届くでしょう

一泊程度の外出なら、残りの充電回数を気にする必要はないということです。

もうひとつ、確かめておきたかったことがあります。

画面に出ている数字は、信用してよいのか。

TFTの表示値と、電流電圧チェッカーの実測値を突き合わせてみました。

結論としては、チェッカーを間に挟む分の損失を考えれば、両者はおおむね一致しています。

つまりこの画面を見ながら「お、速いな」「今は落ちてきた」と判断して差し支えありません。


ポートを使うと、数字が変わりました

ここからは、実際に測らないとわからなかった話です。

本製品には、内蔵ケーブルのほかにUSB-Cポートが2つあります。

公称値では、USB-C1ポートは内蔵ケーブルと同じ最大35W

ところが、そのC1ポートにケーブルを挿してiPhone 16 Proを充電すると、16W前後で頭打ちになりました。

60W対応のケーブルを使っての結果です。

充電時間にもはっきり差が出て、20%から80%までが1時間半ほど。

内蔵ケーブルなら約1時間ですから、けっこうな違いです。

ではC1ポートの実力が低いのかというと、そうではありませんでした。

同じケーブル・同じポートのまま、つなぐ相手をiPad Airに変えたところ、最大31Wの表示を確認しています。

相手との組み合わせによって、速度が出るときと出ないときがあるという、そういう話でした。

もう一方のUSB-C2ポートは公称最大18Wで、こちらは役割が違います。

残量25%のiPad Airをつないだところ、7〜8W程度。

イヤホンやサブ機など、急がない相手を任せるポートだと考えるのが実態に合っています。

ここから導かれる使い方は、拍子抜けするほど単純です。

急ぐときは、内蔵ケーブルを使う。

ケーブルを別に持たなくていいことが本製品の売りですが、いちばん速いのもその内蔵ケーブルでした。


MacBookへの充電は実用的と言えるか

モバイルバッテリーでノートパソコンを充電できます、という説明はよく見かけます。

ただ、知りたいのは「できる/できない」ではなく、どの程度なのかのほうです。

手元の2台で試しました。

MacBook Air M2は、33Wで給電されました。

macOS側に「低速充電器」といった警告は表示されず、使いながらでもバッテリー残量は増えていきます。

MacBook Pro M5 Proのほうは、同じく33Wながら「低速充電器」と表示されました。

ただ、表示が出ただけで、充電自体はきちんと進みます。

しかも、ブログの原稿を書きながら、バックグラウンドでNetflixの動画を再生するという、わざわざ負荷を上げた状態で試しました。

それでも残量はじわじわと増えていきます。

結論として、緊急用としては頼れます

その上で、正直に付け加えておきたいことがあります。

最大35Wの給電ですから、これを電源として当て込んで重い作業を続けるのは無理があります。

そもそも、電気が止まってコンセントが使えない状況で、MacBookを開いてまでやる作業がどれだけあるかという話でもありますが(笑)

「外出先で、バッテリーが尽きかけたノートパソコンを延命できる」

その一点が確保されていれば、モバイルバッテリーとしては十分だと思います。


貼って、有線。この運用が本題です

かなり引っ張ってしまいましたが、ここが本製品の中心です。

背面のマグネットでiPhoneに固定し、生えているケーブルを挿して充電する。

言葉にすると当たり前のことですが、実際にやってみると使い勝手が変わります。

まず、吸着が想像以上にしっかりしています。

貼ったまま歩いても、画面を操作しても、寝転んでも、ズレません。

仮にズレたところで、有線接続なので充電状況に影響はしません

普段使用しているiPhoneケースは、クロスフィールドの地図柄iPhoneケース(MagSafeタイプ)です。

ケースを外して直に貼ると、吸着はさらに強くなりました。

とはいえ、iPhoneの裸運用は心臓に悪いので、レビュー用の撮影以外ではケースをつけたまま使っています。

ホノブ

あまりにズレないので、スタンド機能があったら重宝しただろうな、と何度か思いました。それくらい磁力は強いです。

内蔵ケーブルの長さで窮屈だと感じた場面もありませんでした。

背面にくっついている以上、本体をiPhoneから離れた場所に置く理由がないから

そして、ケーブルを別に持たなくていいことの効き目は、荷物がひとつ減ることだけではありません。

充電ケーブルをバッグにそのまま放り込むと、イヤホンや鍵、ペンにきれいに絡みます。

取り出すたびにほどく手間がかかりますし、断線の原因にもなります。

それが嫌で束ねたり小さなポーチにまとめたりするわけですが、今度はそのポーチがバッグの中で場所を取ることになる。

本機の内蔵ケーブルは、使わないときはその先端が本体に収まっています。

絡まりようがありませんし、束ねる手間もポーチも要りません

ケーブル1本の話に見えて、実際に減っているのは「ケーブルを管理する手間」のほうでした。

一方で、貼ったままの操作には難点もあります。

重さというより、厚み

iPhoneに12.9mmが上乗せされる分、持ったときの厚みが増えて、LINEで文章を打つときにわずかに打ちにくくなりました。

それでも、ケーブルの取り回しを気にしなくていい快適さのほうが勝っていますけれど。

ワイヤレスで置きたいなら、性格の違う1台があります

先ほども触れたSatray SSB10proを、ここで並べておきます。

私の手元では、旅行はSatray、日常はPowerBladeと担当が分かれました

どちらが優れているという話ではなく、性格がはっきり違うという話です。

項目MATECH PowerBlade 10000Satray SSB10pro
電池の表記半固体電池(SemiCore)準固体電池
寸法110×70×12.9mm115×75×18.7mm
重量179g235g
マグネットの役割固定のみMagSafeワイヤレス充電(最大25W)
内蔵ケーブル引き出して使う(持ち手として使えない)収納時はループとして使える
スタンドなし折りたたみ式を内蔵
有線の最大出力35W30W

※PowerBlade及びSatrayの数値は、これらの取扱説明書に基づきます。なお搭載電池の呼び方は各社の公式表記に従って書き分けています。

長距離移動中、充電しつつスタンドを立てて動画を見るような場面があるときは、選ぶのはSatray。

以前のレビューで私は、「普段使いは別の薄型に任せて、これは旅の相棒に」と書きました。

その「別の薄型」の席に、いま座っているのがPowerBlade 10000です

置いて充電したい人はSatray、貼って有線で済ませたい人はPowerBlade。

同じ半固体・準固体という文脈の製品でも、選ぶ理由はまったく別のところにあります。

Satray SSB10proについてはこちらで

3台同時給電と、パススルー給電

本製品は、内蔵ケーブル・USB-C1・USB-C2の3系統から同時に給電できます。

先に言っておくと、この価格帯・この薄さで3台同時に給電できること自体が優秀です。

実際、内蔵ケーブル+C1+C2の3台同時給電はきちんと成立しました。

その上で、制限があります。

複数台に同時給電する場合、合計出力は最大15W

これは取扱説明書に明記された仕様で、実機でも15Wの表示とともに「MAX」の文字が出ました。

単純に割れば、1台あたり5W前後です。

体感でも、はっきり遅くなります。

一晩かけてようやく、といったペースかと。

1台分の電力を3台で分け合うわけですから、これは仕組み上そうなるものです。

急ぎたい1台があるなら、内蔵ケーブル1本に絞る。それが正解です。

ちなみに、接続したデバイスが2台でも合計出力は最大15W

このとおり、MAX表示になっていました。

パススルー給電も使えます

モバイルバッテリーを充電しながら、スマホ等の機器へ給電することもできます。

いわゆるパススルー給電ですね。

USB-C1ポートまたは内蔵ケーブルのどちらかで本体を充電し、残りの経路から機器へ給電する形になります。

iPhone 16 Proで試したところ、問題なく動作しました。

このとき、画面には「Pass Through」と表示されます。

寝る前にコンセントへつなぎ、iPhoneも一緒につないでおけば、朝までに両方とも充電されている

宿泊先でコンセントの数が足りないときには、この機能がそのまま効きます。

なお取扱説明書によれば、給電先が満充電になるとパススルー給電は停止し、表示は本体への充電に切り替わります。

もうひとつ、実機で確かめた仕様について。

USB-C2ポートからは、本体を充電できません。

C2は出力専用です。

取扱説明書にも同じ記載があり、実際にそのとおりでした。


本体を充電する(入力 最大27W)

給電の話が続いたので、逆方向の話も。

本製品への充電は、内蔵ケーブルまたはUSB-C1ポートから行います。

公称では、最大27W入力に対応しています。

私が使った機材は次の2つでした。

結果は、残量5%から100%まで、約2時間でした。

充電中のTFT画面には、ほぼ常時26Wが表示されています。

公称の最大27Wに対して26Wですから、ここは看板どおりの数字が出ていると考えて差し支えありません。

ただし、最後まで26Wで駆け抜けるわけではありませんでした。

残量が80%を超えたあたりから表示のワット数が落ち始め、90%台では5Wを下回ります。

これは故障でも不良でもなく、満充電に近づくにつれて電流を絞る、リチウムイオン系のバッテリーに共通した制御です。

発熱についても書いておくと、充電中の本体はぬるい程度。

手に取っても気になりません。

ホノブ

ちなみに、0%まで使い切ってから測ったわけではありません。半固体といえどもリチウムイオンバッテリーなので、0%まで使い切るとバッテリーを傷める恐れがあるからです。スマートフォンも、バッテリーを使い切る運用は推奨されていません。

2時間という数字を、生活の側に置き換えてみます。

朝の支度をしている10分や20分で満タンにできる、という速さではもちろんありません。

一方で、夕食を終えてから挿しておけば、寝る前にはもう終わっています。

出かける前夜に思い出して挿す、という運用なら十分に間に合う速さでした。


正直に惜しいと思ったところ

良いことばかり書いてきたので、そろそろ疑われている頃だと思います。

使っていて引っかかった点を、順番に挙げていきます。

内蔵ケーブルは、持ち手として使えません

これがいちばん大きい注意点です。

収納状態の内蔵ケーブルは、本体の側面にきれいなループを描きます。

見た目だけなら、指を通せそうにも、カラビナを引っかけられそうにも見えます。

しかし、取扱説明書には「ケーブルを持って持ち運びしないでください」と明記されています。

収納状態の内蔵ケーブルをループとして使うのは、メーカーが明確に禁じている使い方です。

実際に軽く持ち上げてみた範囲では、コネクターが抜けることはありませんでした。

ただ、これを指にかけてくるくる回したらどうなるかは、わかりません。

怖いので試していません。

問題は、この形状が購入前の商品画像から誤解を招きやすいことです。

特に、内蔵ケーブルをループ代わりに使える製品を持っていた方ほど、同じ運用を想像すると思います

先ほど紹介したSatrayは、まさにその構造でした。

見た目が似ていても、設計思想は別。

カバンの外にぶら下げる使い方を考えている方は、この点だけ先に知っておいてください。

ホノブ

欠陥ではなく、期待の方向がずれやすい形、という話です。私も最初は通せると思っていました。

複数台を同時に充電すると、はっきり遅い

先に書いたとおり、2台以上をつなぐと合計15Wに制限されます。

3台つなげること自体は優秀ですが、速度を期待する機能ではありません。

寝ている間にまとめて、という使い方に向いています。

ワイヤレス充電には対応していません

何度も触れているとおり、マグネットは固定用です。

背面に貼れば充電が始まるものと思って買うと、確実に肩透かしを食らいます

薄さと、有線35Wの速さ。

その2つと引き換えの割り切りですから、ここを承知したうえで選ぶ製品です。

置くだけ充電が譲れないなら、同社のMagOnシリーズのように、ワイヤレス対応で薄いモデルを選んだほうが幸せになれます。

貼ると、厚みが増えます

12.9mmは単体では十分に薄いのですが、iPhoneに乗せればその分だけ厚くなります。

貼ったまま文字を打つ場面では、少しだけ持ちにくくなりました。

とはいえ、これはケーブルの取り回しから解放されることの代償です。

私は喜んで受け入れています。


総合評価

良かった点は、安全性で選んだはずの1台が、毎日持ち出せるサイズ・重さに収まっていたことです。

そして「貼って、有線」という運用が、想像以上に日常へなじみました

テーブル上の置き場所が増えず、ケーブルを別に持つ必要もなく、それでいて内蔵ケーブルなら最高28.6Wまで出た。

iPhoneは、1時間で20%から80%まで戻ります。

MacBookも、多少負荷をかけた状態でもバッテリー残量が増えるところまで確認できました。

画面の数字が実測とおおむね一致することも、地味ですが信頼につながっています。

気になる点は、複数台をつないだときの15W制限と、内蔵ケーブルを持ち手にできない構造くらいでしょうか。

前者は仕組み上やむを得ないものですし、後者はメーカーが取扱説明書で明示している注意事項でもあります。

どちらも「知らずに買うと戸惑う」たぐいのもので、知っていれば避けられます。

こんな人におすすめ
  • 持ち歩くバッテリーの安全性は気にしたいが、分厚いのは持ちたくない方
  • カバンの中身をなるべく増やしたくない方
  • 充電ケーブルの持ち歩きを忘れがちな方
  • MacBookの緊急用電源も兼ねたい方
  • 今どれくらいの速さで充電できているかを、数字で見たい方
こんな人には向かないかも
  • 置くだけのワイヤレス充電をしたい方
  • 充電しながら動画を観るためのスタンド機能がほしい方
  • 複数台をまとめて速く充電したい方
  • 内蔵ケーブルを持ち手やストラップとして使いたい方

まとめ:常用の1台が、静かに入れ替わりました

日常用も旅行用も揃っていたところへ、必要のない1台を足しました。

それでも今、毎日のカバンに入っているのはこの1台です。

無印のバッグインバッグに入れるとき、真ん中のスナップボタンを外さなくても、隙間からそのまま滑り込めます

12.9mmという薄さが効いたと感じたのは、この瞬間

179gという重さは、バッグに入れてしまえば誤差の範囲です。

かさばると思った場面は、iPhoneに貼ったままLINEを打つときくらいでした。

スマートフォンは、もう生活の基盤、インフラの一つだと思っています。

だからこそ、東日本大震災を契機に、モバイルバッテリーを必ず携帯するようにしてきました。

毎日カバンに入れるものだからこそ、中身の電池が何なのかは気になります。

かといって、安全性のために分厚い塊を持ち歩くのも、続きません。

続かない安全対策は、結局のところ安全対策になりません

その意味で、この1台は15年続く習慣にちょうど収まりました。

ワイヤレス充電非対応を承知した上で、それでも毎日連れて行きたくなる

長々と語りましたが、結局はそれが何よりの評価です。


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限られた時間の中で 質の高い選択をしたいあなたへ。

迷いをなくすお手伝いができれば幸いです。


※この記事で紹介している商品リンクには、Amazonアソシエイト、楽天アフィリエイト等のアフィリエイトプログラムを利用しています。今回紹介したMATECH PowerBlade 10000 SemiCoreは自腹で購入し、実際に使ったうえで正直にレビューしています。リンク経由で購入いただいた場合、紹介料をいただく仕組みですが、価格が変わることはありません。

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